分離不安症は、犬によくみられる症状です。飼い主がいなくなる、見えなくなることで大きなストレスを感じ、興奮状態に陥ります。物を壊したり、遠吠えを続けたり、犬にも飼い主にも感情的に疲れを感じてしまいます。愛犬の分離不安症を理解し、効果的なトレーニングをすることで、この問題を解決へと導き、飼い主と愛犬との仲を更に睦まじくしてくれるでしょう。

分離不安症に対応するには、その兆候を認識するのが重要です。いつもとは違う吠え、鳴き、家具や物を噛んだりする破壊行動、室内での粗相、また、出かける準備をしている時や、帰宅した際の犬の落ち着きのなさなどが挙げられます。こういった行動は、いたずらなどではなく、不安からくる行動であり、これを理解することが問題を解決する一歩となるのです。

分離不安症に効果のあるトレーニングの一つに、段階を置いていく方法があります。この方法は、飼い主さんが留守にすることに、計画的に慣れさせていく方法です。まずは短時間の外出から始め、徐々に留守番の時間を延ばしていきます。家を出る際、犬の不安を仰ぐため、大げさにふる舞うことは避けましょう。このトレーニングの目標は、飼い主が家を空けるのはごくごく当たり前のことで、心配することはないと、犬に教えることが目的です。

「反対条件付け」も分離不安症に対処するとても重要なテクニックとなっています。犬が一人でいることに対する犬の「感情的反応」を変化させるものです。飼い主が留守にすることをポジティブな体験と結びつける必要があります。例えば、飼い主が留守にする時だもらえる特別なおやつや、パズルタイプのおもちゃなどを犬に与えます。何度も繰り返すことにより、愛犬は飼い主が留守にする時は楽しいこともあると、不安が軽減するようになります。

分離不安症が酷い場合は、専門のドッグトレーナーや、動物行動学のスペシャリストに意見を求める必要があるかもしれません。専門家であれば、その犬に合ったトレーニングプランの提供、また、犬の不安を軽減させるために役立つ薬などを勧めてくれるでしょう。薬物療法は、行動改善法と並行して行われ、資格を持った専門家・獣医などの指導のもとで行う必要があります。

分離不安症は、犬にとっては大変困難な症状ですが、対処可能な症状でもあります。分離不安症の症状を認識し、徐々に不安を取り除くトレーニングと、反対条件付けのテクニックを実行し、必要に応じて専門家の意見を取り入れることで、愛犬の不安を取り除き、飼い主さんが家を出る際に安心して、リラックスできるようになっていきます。犬の分離不安症には、飼い主さんの忍耐、一貫した対応、そして愛犬が何を求めているか理解することがとても重要です。