ロッキー山紅斑熱からの生還 - ある犬の物語
ロッキー山紅斑熱から生還した一匹の犬の物語
アンジェロとダイアナ・スカラ夫妻は、結婚前からボクサー犬を飼いたいと思っていました。結婚後すぐ、ボクサーのブリーダーが産んだ子犬の中からルイを選びました。2010年も間もなく終わるころ、生後8週間の子犬ルイをイリノイ州ダウナーズ・グローブの自宅に連れて戻ってくると、近所の人や見ず知らずの人ですら、ルイのことをかわいいねと褒めてくれました。アンジェロは「ルイはとても魅力的だった」と言います。
ルイはとても活発でしたが、アンジェロは以前ボクサーを飼ったことがあったので予想済みでした。スカラ夫妻は、個性が強くちょっと興奮気味で、でも忍耐強くてとても愛情深いルイが大好きでした。 娘のジュリアナが生まれ、ルイは妹を見守るお兄さん的な役割を担うようになりました。さらに1年後、スカラ夫妻の次女となるアントネラが生まれると、ルイは2人目の妹を迎えました。妹たちの寝床が赤ちゃん用ベッドから普通のベッドに変わると、ルイはお休み前に子供たち一人ひとりの頬にキスをする行動を自らする様になりました。
夫妻はルイのことをとても大切にし、ルイはそのお返しに子供たちのことをとても大事にしました。何年もの間、ルイの人生はとても楽しいものでしたが、特に目立ったことはありませんでした。 そして2015年5月、ダニに噛まれたことが原因で引き起こされた症状が、ペットペアレントとして夫妻を試練に立たせることになったのです。
ルイの体調不良の始まり
ルイの鼻血が出始めたとき、すでに問題は起こっていました。ダイアナは「血が止まらない」「軽い鼻血とは比べものにならないほどひどかった」と言っています。
アンジェロは開いては閉じる鼻腔内の穴をかさぶただと思っていましたが、ダイアナは何かもっとひどいものではないかと疑っていました。アンジェロがルイを動物病院へ連れて行きました。血液検査の結果はほとんど正常でしたが、アンジェロはある数値が上昇傾向であると言われました。 アンジェロは、ルイの肝臓に問題があるか、あるいは癌の可能性があることを知らされましたが、一旦保留にして、後日改めて検査することにしました。
6月に予定されていた再診の前に、ルイは餌を吐き、泡を嘔吐するようになりました。夫妻は、2人の幼児を世話しながら病弱な犬を診察に連れて行くのは大変だと知っていたアンジェロは、出張で街を離れる前に獣医に連れて行くことを決断しました。ダイアナは双子を妊娠していたのです。
アンジェロは、犬のお腹にガスや液体、食べ物が溜まって膨張する危険な「鼓腸」の可能性があると言われていました。
ガスの薬をもらい、ルイを翌週の月曜日にまた連れて戻ってくるように言われました。 翌週の火曜日にアンジェロがルイを検査に戻ってきた時、獣医は、血液検査の値がかなり高かったため、ルイを今週いっぱい入院させることにしました。獣医は、肝臓をきれいにする処置を行うといいましたが、まだ鼓脹であるだろうと思っていました。数日後、ルイは7月4日の連休中に回復することを願い、飼い主のもとに返されました。しかし翌日、ルイの後ろ足が腫れ始め、ダイアナは何かがおかしいと言い続け、獣医もルイを専門医の診察を受けるように勧めたのです。
ルイのケアを担当した獣医の一人、ジェニファー・ヘリング博士によると、「ERに初めて来たとき、ルイはかなり具合が悪かったです」。 しかし、夫妻が、ルイの鼻血、腫れ、嘔吐の原因を突き止め克服する決意をしていることがわかりました。
医学的突破口
数々の検査にもかかわらず、医師たちはルイの問題を特定できませんでした。
ルイはマダニの検査を受けていましたが、VSCの獣医師たちはより詳細な寄生虫の検査を行うことにしました。それにもかかわらず、誰もルイがロッキー山紅斑熱という、イリノイ州では珍しいマダニによって感染する病気であると疑う理由がなかったのです。
ルイがVSCに運ばれて数日後、獣医師の一人がアンジェロにどの薬を使っても経過がよくならず、許可があるなら特定のステロイドの使用にて様子を見たいと電話をかけました。アンジェロはステロイドの使用に同意しましたが、やはり効果が見られず、翌日、ルイを安楽死させるのが最善であるかもしれないという電話がありました。夫妻は沈黙で長距離を走り、ルイに会いに行きました。ルイの顔はバスケットボールのように膨らんでおり、体も腫れ上がっていました。しかし、ダイアナとアンジェロは、ルイが彼らの顔を見て喜んでいることがわかり、まだ生きたいという想いがそこにはあると感じ取ったのです。
夫妻は、VSCの内科専門医の一人であるジェリー・ソーンヒル博士に、ルイを安楽死させるかどうかを決める前に、もう一回血液検査をしてもらいたいと考えていました。ソーンヒル獣医は翌日アンジェロに連絡し、ルイが一夜明けて少し良くなったこと、そして検査の結果、ルイがロッキー山紅斑熱に感染していることを知らせました。獣医師たちは、これで事態を把握したのでした。
ダイアナは、「ライム病だったらもっとひどい状況だったはず。これは治療できる」と聞いたことを思い出しました。
ロッキー山紅斑熱と向き合う
どんな犬種でもロッキー山紅斑熱によるうつ病、拒食症、不整脈(異常な心拍数)、血液凝固異常、そして死亡さえ引き起こす可能性があります。高気圧酸素療法に加え、ルイは数種類の薬を服用し、少しずつですが確実に回復し続けました。18日間の入院後、ようやく獣医師たちはルイを家に帰すことを認めました。
ヘリング博士は、夫妻とルイを称賛し、一方アンジェロは、ルイを治療した医師たちに動物を救うための功績を称賛しました。へリング博士は、ルイはいい家族をもったファイターだったと付け加えています。
ルイは1年たった今でもまだ完璧に治癒したわけではありません。現在一家には4人の子供が暮らしています。VSCから退院した後も数ヶ月間、高気圧酸素療法を受けるために、夫妻はルイを1日おきに動物病院まで連れて行かなければなりませんでした。
アンジェロはペット保険のおかげで自己負担額は6,000ドル強であっただろうと思っていますが、実際のルイの医療費は既に60,000ドルを超えています。現在もルイはロッキー山紅斑熱の治療を受けていますが、VCSへ通う頻度は減っているそうです。まだかなりやつれて見えるそうですが、以前よりも元気だそうです。
今は「ルイが不合理な行動をとったり、過剰な行動をとったりすると、"ルイ、落ち着いて "と言うようにしています」とダイアナは言います。しかし、ルイはもう戻ってこないかもしれないと心配したことを思い出し、ルイがハチャメチャな行動をとっても、この状況はもうなかったのかもしれないと考え、一日でも長く一緒に過ごしたいという気持ちでいます。ルイが病気を乗り越えてくれたことにとも手感謝しています」と語りました。
アンジェロとダイアナ・スカラ夫妻は、結婚前からボクサー犬を飼いたいと思っていました。結婚後すぐ、ボクサーのブリーダーが産んだ子犬の中からルイを選びました。2010年も間もなく終わるころ、生後8週間の子犬ルイをイリノイ州ダウナーズ・グローブの自宅に連れて戻ってくると、近所の人や見ず知らずの人ですら、ルイのことをかわいいねと褒めてくれました。アンジェロは「ルイはとても魅力的だった」と言います。
ルイはとても活発でしたが、アンジェロは以前ボクサーを飼ったことがあったので予想済みでした。スカラ夫妻は、個性が強くちょっと興奮気味で、でも忍耐強くてとても愛情深いルイが大好きでした。 娘のジュリアナが生まれ、ルイは妹を見守るお兄さん的な役割を担うようになりました。さらに1年後、スカラ夫妻の次女となるアントネラが生まれると、ルイは2人目の妹を迎えました。妹たちの寝床が赤ちゃん用ベッドから普通のベッドに変わると、ルイはお休み前に子供たち一人ひとりの頬にキスをする行動を自らする様になりました。
夫妻はルイのことをとても大切にし、ルイはそのお返しに子供たちのことをとても大事にしました。何年もの間、ルイの人生はとても楽しいものでしたが、特に目立ったことはありませんでした。 そして2015年5月、ダニに噛まれたことが原因で引き起こされた症状が、ペットペアレントとして夫妻を試練に立たせることになったのです。
ルイの体調不良の始まり
ルイの鼻血が出始めたとき、すでに問題は起こっていました。ダイアナは「血が止まらない」「軽い鼻血とは比べものにならないほどひどかった」と言っています。
アンジェロは開いては閉じる鼻腔内の穴をかさぶただと思っていましたが、ダイアナは何かもっとひどいものではないかと疑っていました。アンジェロがルイを動物病院へ連れて行きました。血液検査の結果はほとんど正常でしたが、アンジェロはある数値が上昇傾向であると言われました。 アンジェロは、ルイの肝臓に問題があるか、あるいは癌の可能性があることを知らされましたが、一旦保留にして、後日改めて検査することにしました。
6月に予定されていた再診の前に、ルイは餌を吐き、泡を嘔吐するようになりました。夫妻は、2人の幼児を世話しながら病弱な犬を診察に連れて行くのは大変だと知っていたアンジェロは、出張で街を離れる前に獣医に連れて行くことを決断しました。ダイアナは双子を妊娠していたのです。
アンジェロは、犬のお腹にガスや液体、食べ物が溜まって膨張する危険な「鼓腸」の可能性があると言われていました。
ガスの薬をもらい、ルイを翌週の月曜日にまた連れて戻ってくるように言われました。 翌週の火曜日にアンジェロがルイを検査に戻ってきた時、獣医は、血液検査の値がかなり高かったため、ルイを今週いっぱい入院させることにしました。獣医は、肝臓をきれいにする処置を行うといいましたが、まだ鼓脹であるだろうと思っていました。数日後、ルイは7月4日の連休中に回復することを願い、飼い主のもとに返されました。しかし翌日、ルイの後ろ足が腫れ始め、ダイアナは何かがおかしいと言い続け、獣医もルイを専門医の診察を受けるように勧めたのです。
ルイのケアを担当した獣医の一人、ジェニファー・ヘリング博士によると、「ERに初めて来たとき、ルイはかなり具合が悪かったです」。 しかし、夫妻が、ルイの鼻血、腫れ、嘔吐の原因を突き止め克服する決意をしていることがわかりました。
数々の検査にもかかわらず、医師たちはルイの問題を特定できませんでした。
ルイはマダニの検査を受けていましたが、VSCの獣医師たちはより詳細な寄生虫の検査を行うことにしました。それにもかかわらず、誰もルイがロッキー山紅斑熱という、イリノイ州では珍しいマダニによって感染する病気であると疑う理由がなかったのです。
ルイがVSCに運ばれて数日後、獣医師の一人がアンジェロにどの薬を使っても経過がよくならず、許可があるなら特定のステロイドの使用にて様子を見たいと電話をかけました。アンジェロはステロイドの使用に同意しましたが、やはり効果が見られず、翌日、ルイを安楽死させるのが最善であるかもしれないという電話がありました。夫妻は沈黙で長距離を走り、ルイに会いに行きました。ルイの顔はバスケットボールのように膨らんでおり、体も腫れ上がっていました。しかし、ダイアナとアンジェロは、ルイが彼らの顔を見て喜んでいることがわかり、まだ生きたいという想いがそこにはあると感じ取ったのです。
夫妻は、VSCの内科専門医の一人であるジェリー・ソーンヒル博士に、ルイを安楽死させるかどうかを決める前に、もう一回血液検査をしてもらいたいと考えていました。ソーンヒル獣医は翌日アンジェロに連絡し、ルイが一夜明けて少し良くなったこと、そして検査の結果、ルイがロッキー山紅斑熱に感染していることを知らせました。獣医師たちは、これで事態を把握したのでした。
ダイアナは、「ライム病だったらもっとひどい状況だったはず。これは治療できる」と聞いたことを思い出しました。
ロッキー山紅斑熱と向き合う
どんな犬種でもロッキー山紅斑熱によるうつ病、拒食症、不整脈(異常な心拍数)、血液凝固異常、そして死亡さえ引き起こす可能性があります。高気圧酸素療法に加え、ルイは数種類の薬を服用し、少しずつですが確実に回復し続けました。18日間の入院後、ようやく獣医師たちはルイを家に帰すことを認めました。
ヘリング博士は、夫妻とルイを称賛し、一方アンジェロは、ルイを治療した医師たちに動物を救うための功績を称賛しました。へリング博士は、ルイはいい家族をもったファイターだったと付け加えています。
ルイは1年たった今でもまだ完璧に治癒したわけではありません。現在一家には4人の子供が暮らしています。VSCから退院した後も数ヶ月間、高気圧酸素療法を受けるために、夫妻はルイを1日おきに動物病院まで連れて行かなければなりませんでした。
アンジェロはペット保険のおかげで自己負担額は6,000ドル強であっただろうと思っていますが、実際のルイの医療費は既に60,000ドルを超えています。現在もルイはロッキー山紅斑熱の治療を受けていますが、VCSへ通う頻度は減っているそうです。まだかなりやつれて見えるそうですが、以前よりも元気だそうです。
今は「ルイが不合理な行動をとったり、過剰な行動をとったりすると、"ルイ、落ち着いて "と言うようにしています」とダイアナは言います。しかし、ルイはもう戻ってこないかもしれないと心配したことを思い出し、ルイがハチャメチャな行動をとっても、この状況はもうなかったのかもしれないと考え、一日でも長く一緒に過ごしたいという気持ちでいます。ルイが病気を乗り越えてくれたことにとも手感謝しています」と語りました。