効果なし！ノミとダニ、9つの家庭対策法

効果がみとめられない家でのノミ・ダニ対策

ハエにすら危害を加えない犬の飼い主や動物愛護家の人々ですら、ノミ・マダニに関しては例外を認める人がたくさんいます。

ノミ・マダニ駆除薬は、ノミやマダニが多く発生する季節には最善の予防策であるにもかかわらず、人によっては、DIY対策や、その他の型破りな方法でノミやマダニの駆除をしようとする“誘惑”にかられる間もしれません。

問題は、このノミ・マダニを駆除する対策が、効果的ではないことが多いということです。さらには、人に害を及ぼしたり、健康問題を引き起こす可能性があるということです。

ここでは、ペットの健康を害するだけではなく、効果が認められないノミ・ダニに対するありがちな家庭での対処法を９つご紹介します。

食器洗剤

ノミを退治するために、多くの飼い主さんがペットにシャンプーすることを選びます。犬猫専用のノミ取りシャンプーは効果がありますが、食器用洗剤を代わりに使用するには効果が不十分となります。

アラバマ州オーバーン大学、獣医学部の臨床助教授であり、獣医師歴44年になるロバート・ロフトン博士によると、犬猫の皮膚と人間の皮膚とではｐＨレベルが異なるが、食器洗剤を使って洗うと、皮膚を乾燥させさらには刺激をもたらすと言っています。

ノミ退治には効果がないということも付け加えています。

仮に、食器洗剤がノミの成虫を死滅させることに成功したとしても、残された寄生虫は間違いなく繁殖を続け、ペットや家庭内に舞い戻ってきます。食器洗剤でペットを洗っても、ノミの卵や幼虫には効果がないのです。

「ノミのライクサイクルには、卵、幼虫、蛹、成虫という4段階あるということを、人々は見落とすことが多い。ライフサイクル全体を制御する薬剤でなければ、成虫を駆除しても、ノミ全体を死に追いやるのは難しい」と、ロフトン博士はいっています。

食器用洗剤は、ノミ駆除剤を使用するには幼すぎる子猫や子犬に対して、ノミの成虫を駆除するのに対しては安全に使用できますが、環境中のノミの数を減らし、更なる蔓延を防ぐには、これ以外のアプローチを仕掛けなければいけません。

ニンニク

自然療法のなかに、ニンニクと、特にビール酵母を合わせた組み合わせでノミが寄り付くのを防ぐ方法があるとしています。ニンニクとビール酵母を合わせたものを犬が食べ、汗をかくことでニンニクの匂いが体臭として出ることで、ノミが寄ってくるのを防ぐというものです。

この療法は、犬の食事にニンニクとビール酵母を振りかけることで犬に摂取してもらう方法です。ですが、獣医師たちは、有害になりえる可能性を訴え、使用しないよう頻繁に忠告しています。

ペンシルベニア州クランベリー・タウンシップのアニマル・ジェネラル社の獣医師マイク・ハッチンソン博士は、犬や猫は人間のように体全身で汗をかかないので、ニンニクはペットのノミ・ダニ駆除剤としては効果がないと主張しています。

ニンニクは、治療薬として効果がないだけでなく、間違って多量に摂取すると犬にとっても害を及ぼすとしています。ニンニクをペットから届かないところへ置いておきましょう。

リンゴ酢

ニンニク同様、ノミ退治にお酢を使うのは、危険な割には効果がないため勧められていません。

リンゴ酢をペットのベッドにかけたり、ペットに直接かけても、匂いのせいで飼い主さんを遠ざけることができても、ノミやマダニに効果があるわけではありません。また、ペットに無理やりリンゴ酢を飲ませても、ノミやマダニを遠ざける効果はありません。

リンゴ酢は現在、人間にとって万能薬として人気を集めていますが、犬猫が摂取するには適していないのです。

ペットのベッドやペットに直接リンゴ酢をかけると、舐めるという行為から最終的にはペットの体内へ入ることになります。

アルコール

ノミやマダニは、消毒用アルコールで死滅させることができますが、適切に使用する必要があります。ペットに直接塗り付けるのではなく、ノミやマダニを消毒アルコールと共に瓶などに入れるべきだと、専門家は言っています。

ロフトン博士は、愛犬やペットに付着しているマダニにアルコールを使用しないよう忠告しています。「アルコールを使用することで、マダニは、愛犬の体内へ毒物を吐き出してしまいます。」

マダニの毒素から身を守るためには、手袋をしてピンセットなどを使ってマダニを取り除きましょう。マダニをゆっくりと回すようにして取り除きましょう。

アルコールでノミは殺せるのか？この質問には、ノミがアルコールの中を泳いでいたら、可能であるそうです。結果として、アルコールを使ってノミを駆除する唯一の方法は、ノミを1匹ずつ取り除き、アルコールの入った容器にいれる方法しかありません。アルコールがペットに対しどれだけ有害であるかを考えると、決してペットに吹きかけるなどはしないでください。

シダーオイル

繰り返し、これはお勧めできない方法です。「シダーオイルは虫除けになる場合もありますが、皮膚に対し強い刺激をもたらすことがあります」と、ハッチンソン博士は言っています。

直接皮膚に塗布しなくても、シダーに含まれるオイルによって皮膚が刺激されることがあります。シダーの切りくずがつまったベッドなどに寝ることで、その香りや成分が、犬の皮膚に刺激を引き起こすケースがあるということです。

また、皮膚にもたらす問題だけではなく、皮膚へ直接塗布した場合に、犬が大量にそれを舐めてしまった場合、肝臓に害を及ぼす可能性もあります。シダーオイルは、ごく少量吸い込んだだけでも、呼吸器系の問題を引き起こす可能性もあります。

最終結論として、シダーオイルは素晴らしい香りを持ち、特定の寄生虫を寄せ付けない効能があるとしても、ペットの体内や、周囲に使用すべきではないということです。

ノミやダニを寄せ付けないようにするために必要な量は、犬や猫にとっては猛毒と値します。ティーツリーやユーカリオイルなど、他のオイルを使用するのもお勧めできません。

塩

塩を使ってのノミ対策はとても危険で効果のない方法です。犬や猫が塩を舐めたり、鼻の中に入ったりすると、ノミの卵や幼虫を駆除するのに必要な塩の量が、犬猫にとってはその量が毒となってしまうからです。

ノミの卵や幼虫が塩によってその個体からの水分を吸収し乾燥させて死滅させることを確認するには、トラック1台分の塩を家の隅々まで隙間なく撒く必要があるからです。

ホウ酸（ホウ砂）

カーペットに振りかける用のノミ取りパウダーの主成分は、ホウ酸でできていることが多くを占めています。ホウ砂と酸を混ぜることで生成されています。

ノミ退治計画の一角として、ホウ酸使用は有効かもしれません。しかし、カーペットやラグにいるノミの幼虫はホウ酸だけでは駆除できません。また、室内でノミ寄生が発生している場合のノミの幼虫は、全体の35％にしか満たないという事実もあります。

ノミの成虫とダニは血液しか栄養として摂取しません。なので、ノミの成虫やダニにはホウ酸はあまり効果がないということになります。さらには、ホウ酸では、家の中で寄生しているノミの全体のうち50％を占めるノミの卵や蛹を駆除することができません。

重曹

ノミの成虫は重曹では殺すことができず、また、愛犬をノミから保護することはできません。

重曹は消臭効果に優れており、ノミの卵や幼虫の水分を奪い取ることで乾燥させる「可能性」により、ペット関連のオンラインサイトでは、ノミ退治に使うことを勧めているところもあります。ですが、重曹がノミ退治に効果的であるという証明は今のところありません。

ココナッツオイル

ココナッツオイルには数多くの素晴らしい用途が実証されています。ココナッツオイルには、多価不飽和脂肪酸が含まれており、これは動物において、炎症を抑えたり、認知機能を促進する働きがあります。ですが、ココナッツオイルはノミやダニには何の効果もありません。

軽度の皮膚の炎症や、乾燥肌をまもるために、直接かかりつけの獣医師からアドバイスされた場合を除き、ココナッツオイルを犬の肌へ直接塗布することは勧められません（ほかのオイルの方が良い効果をもたらす場合があります）。

ココナッツオイルを犬の皮膚に塗布することは、愛犬のベッドや家具を脂っぽくするだけです。ノミやダニなどの厄介な寄生虫にとって、ココナッツオイルを愛犬の皮膚に塗布し、薄い層ができたとしても、愛犬を守るためのバリアとしては機能しないのです。

「ココナッツオイルでノミは殺せますか？」という質問があれば、その答えは「殺せません」という答えになります。

獣医が認めたノミ・マダニ治療法のみを使用

それでは、どのノミ・ダニ予防薬が一番よいのでしょうか。家庭内治療を試してみたい気持ちもわかりますが、獣医師が効果があると認めたものを使用するべきでしょう。

ハッチンソン博士によると、「飼い主の善意による犬を思った試みが、結果的にペットに副作用を与えてしまうことがあります」と言っています。

効果的なノミ・ダニの予防については、良く下調べをし、かかりつけの獣医師にも相談することをお勧めします。現在では、チュアブルタイプ、外用薬、首輪タイプなど様々なものから選ぶことができます。

獣医師が認めたノミ・ダニ駆除薬を使用し、ノミが、愛犬だけでなく飼い主さんまで感染させてしまう病気から家族みんなを守りましょう。