匂いでコミュニケーションをとる猫達

犬の嗅覚は鋭いですが、猫も匂いによって周囲の状況を把握しています。ここでは、猫達が日常生活において彼らの「鼻」をどのように使っているのかを見てみましょう。

匂いでコミュニケーションをとる猫達

犬の嗅覚が鋭いことは周知のことですが、猫の日常生活にも「匂い」が大きな役割を果たしていることを知らない飼い主さんは多いようです。初めて会う動物の性別を判断したり、安心感や安全性を確認したり、猫の嗅覚は「猫の世界」を把握するために大事な役割を果たしています。ここでは、猫達の鼻が、周囲の環境や他の動物との間でどのような役割を成しているのかをご紹介します。
  猫の鼻には、人間の約40倍もの嗅覚受容体があり、嗅覚だけで周囲の情報を収集することが出来る優れた「機能」をもっています。 「匂い」によって、近くにいる猫の性別や繁殖状態などが把握（繁殖期に役立つ）でき、猫社会での相手を知る合図として役割を果たします。また、それにより安心感を得ることも可能となっています。例えば猫がすりすりする時、皮膚の下にある分泌腺から自分の匂いをなすり付けています。 猫は前足、脇腹、尻尾にも同じように匂いを出す分泌腺があり、この匂いで彼らのエリアをマークしています。この分泌物がフェロモンです。

フェロモンは、猫から猫へ重要な情報を伝達する匂いを使ったコミュニケーション方法です。 猫社会の情報を匂いで読み取る能力により、猫達は直接交流することなく、会ったことのない動物に「会う」ことができるようになります。 これは、不必要な争いを避けるのにとても重要で、匂いにより、他の猫のテリトリーと位置情報を把握することが可能となります。また、繁殖相手を探すのにも役立ちます。 猫が分泌腺をこすりつけるのは、その物が自分の所有物であると示す行為であり、これは猫を安心させ、また、ストレスを和らげる状況を作り上げているのです。 また、少し荒々しいスプレー行為などで匂いをまき散らすこともありますが、大抵の場合、ストレスを感じていたり何らかの過剰な刺激を受けていることが考えられます。

猫の嗅覚には多くの意味が隠されているので、猫が何を伝えようとしているのかを理解することが重要です。 スプレー行為を見かけたら、新しいペットや人間の家族が加わったなど、環境の変化に対するストレスかもしれません。 スプレー行為に関しては、尿路感染症などの病気の症状である可能性もあるので、目の前で鳴いたりスプレー行為をする場合は、異常がないか確認する必要があります。 また、猫は引っ掻くことによって自分の居場所を知らせようとします。引っ掻くことにより、前足になる分泌腺から匂いを出し、マーキングをしているのです。キャットタワーなどを用意しておきましょう。 また、猫が自分の顔や脇腹をあなたにこすりつけるのは、あなたを自分のものとして認識している証拠です。猫が他の猫に擦り寄ることは、絆を作ることにつながります。この行動を通して、猫はあなたと絆を共有していることになります。