年齢により犬のニーズは多種多様ですが、シニア期になると耳が聞こえなくなるため、新たな配慮が必要になることもあります。

難聴のシニア犬を助けるヒント

どの飼い主も、ペットには健康で長生きしてほしいと思うのが常ですが、犬の高齢期には、特別な配慮を必要とする症状が起きることがあります。ほとんどの犬は、年齢とともに少なくともある程度の難聴を経験しますが、日常生活を少し変えるだけで難聴に慣れることができます。

犬の難聴の原因として最も多いのは加齢です。加齢による難聴は手術をしなければ治りませんが、その他の難聴の原因には、感染症や外耳道に詰まった異物などがあり、こういった場合は治療することができます。ペットが聞こえにくいかな、と感じ始めたら、動物病院に連れて行き、これらのような治る病気でないことを確認しましょう。難聴が進行するまで、飼い主は自分のペットの耳が聞こえなくなっていることに気づかないことが多いので、ペットの年齢が上がるにつれて耳が聞こえなくなるサインに配慮することが大事です。

難聴が外的要因でないことがわかったら、聴覚に制限のある生活に適応できるよう対応を始めることができます。幼い頃からハンドシグナルを使った訓練をしていない場合は、言葉を必要としない合図でコマンドを伝えるようにします。ペットが幼いうちからハンドシグナルを教えておくと、聴覚を失った時にとても便利ですが、高齢のペットでも、新しい合図を覚える能力は持ち合わせています。呼びかけが聞こえなくなった犬の注意を引くには、手を叩く、床を足で踏みつけるなど、振動を与えることで飼い主の存在を知らせます。また、懐中電灯を使う、おいしいにおいのするおやつの袋を開けるなど、聴覚以外の方法で注意を引く工夫も必要です。新しいシグナルに反応するようにペットに教えるときは、褒める、撫でる、おやつをあげるなど、ペットが覚えるのを楽しむよう「正の強化」（望ましい行動に対して対価・報酬などを与える）で進めましょう。 ペットの聴力が低下することに適応できる様にするには、ペットの状態の変化を意識してあげることです。ペットの視界に入る範囲にしか近づかない、ペットを驚かせないように優しく触る、などがあります。また、おやつの袋の匂いを嗅がせて、眠りから覚ましてあげるのもよいでしょう。また、周囲の音が聞こえないときは、愛犬の安全を確保するために、さらに工夫が必要です。庭にフェンスを設置したり、リードをつないでおくと、車や他の危険物から身を守ることができます。また、鼻を使う遊びを教えたり、庭や散歩のときに立ち止まって匂いを嗅ぐ時間を作ってあげたりと、匂いに関する活動を増やすことで、ペットの生活をより豊かにすることができます。

犬は難聴に適応する能力が非常に優れています。1つの感覚が弱まると、それを補うために他の感覚が強くなる傾向があるので、匂いを中心としたアクティビティをたくさん用意して、ペットの関心を引き続けるようにしましょう。毎日のちょっとした工夫で、加齢による難聴に適応したペットの生活の質を向上させることができます。